ティナが来てからというもの、ボリスはまるでヒトの子供のように、ますます甘ったれに退行してしまっている。よほど「怪しい!」というとき以外には野太い声で吠えず、普段は「アン、アン」とかん高い声で吠えるのだが、、ティナの世話をしていると、この「アン、アン」が始まる。逆にボリスの世話をするときにはティナが騒ぎはじめ、私としては「どっちの声にも、まいるなあ」なのだ。
本当は甘えたいくせに、バリケンから出してもらうと、私に背を向け、「いいですよ、おかあさんはぼくのことなんて、かわいくないんでしょう」と言わんばかりだ。なでてやりブラッシングしながら時間がたつと、ようやくこちらを向いて、おしりを私にくっつけてよりかかってきたりする。
そういうとき、ティナが騒いでいても、ボリスはあえて、ティナを見ようとしない。無視を決めているようで、ティナの吠え声が大きくなればなるほど、うれしそうなのだ。
困ったもんだ。写真だけでは伝わらないが、バックにはティナの吠え声が響いている。