ハナちゃんが亡くなり、♂ばかり3頭のゴールデンの世話を、これからはしっかりやっていこうと思って過ごしていたある日、タケルちゃんを訓練していただいた九州のハンドラーさんから、女の子の黄金の子イヌのニュースが降ってきた。この九州のハンドラーさんは、タケルちゃんが我が家に来て以来のお付き合いだ。心配性の私たち夫婦は、ゴールデンで何か気になることが起きると、すぐ電話しては色々と尋ねるのだが、そのたびに親切にひとつひとつ、アドバイスをして下さる。タケルがとてもお利口さんなのは、このハンドラーさんのお陰なのだ。
タケルはパピーで賞を取っている子で、親バカかも知れないが体格も頭もすごくがっしりとしており、うちの旦那の理想のゴールデンだそうだ。数年前に亡くなったタローと血縁がある。タケルが我が家に来てくれて以来、旦那はタケルの子が欲しいと口癖のように言っていたが、今回、ハンドラーさんが下さった話は、タケルちゃんの伯父さんにあたるヒカルくんと、島根にいる個人のハンドラーさんのティンプシーちゃんとの間に、3頭の仔犬が生まれたという話だった。
そのうちの2頭が、女の子だと言う。将来、何年か先に、タケルちゃんとその女の子との間に子をとることができれば、血統としても良いそうだ。
私たち夫婦はハナが亡くなった経緯もそのハンドラーさんに話していたので、その仔犬の話をもらったときは、不思議だった。熱中症で、飼い主の失敗でイヌを死なせてしまったのに、新しく他の仔犬を迎える信用なんてしてもらえるのだろうか。そう尋ねると、ハンドラーさんは、これまでの私たちがイヌたちを大事にしていることをずっと知ってきているから、と言って下さった。こうした信用に応えることができるのか、亡くなったハナちゃんはどう思うか、しばらく考えることにした。
その後、私たち夫婦は、そのハンドラーさんに、新しく女の子ゴールデンをよろしくお願いします、と返事した。この返事をした大きな理由の一つは、その女の子ゴールデンの母イヌのティンプシーちゃんが、亡くなったハナによく似ていることだった。ハナちゃんは小さな体格だったが、もし大きくなっていたら、というがっしりした体格で、ティンプシーちゃんはハナの顔立ちによく似ていた。そして生まれた仔犬の女の子の顔もまた、ハナちゃんの仔犬の頃の顔に似ており、瞳ぱっちりの美少女だった。
こうして、我が家に新しい家族の一員を迎えることになり、再び4頭の黄金のイヌと一緒に、暮らすことになった。初めてのゴールデンであるタローと出会った2001年から2005年初秋までの回想は、ここまで。